2013.3.11 金沢

3月11日の朝、いつものように、テレビでニュースを見ていた。
「あれから2年」という内容で構成された全国ニュースが終わり、地元局のニュースに切り替わる。
番組の後半、金沢市内のライブ映像をバックに石川県の天気や今日の予定を読み上げるコーナーがあり、その日[1]テレビに映っていたのは、香林坊の交差点[2]

2013.3.11 金沢 / Kanazawa

わずか10秒ほどの映像だったが、交差点の向こう側、大和アトリオの前に半旗が掲げられているのが見えた。
”そういう意”が、目に見える形で明確に表わされていた。[3]


しばらく前から、テレビでは、この日に合わせたと思われる特集を、”また”よく見るようになった。
1年毎の区切りとしてこの時期に集中するのは分かっているが、それ以外の時期での取り上げ方はあまりにも薄いと以前から思っていた。
普段よく聞いているラジオでは、「忘れてほしくない。」という被災地の声を、以前から度々伝えていた。

思いは、見えたり、聞こえたり、読んだり、食べたり、触ったり… 何かしらの形で具現化されなければ伝わらない。[4]
朝、半旗が掲げられているのを見て、そう思えた。

この日、金沢で、思いはどのような形になっているのかを、旗に注目して見て回った。


2013.3.11 金沢 / Kanazawa
消防署(玉川出張所)

2013.3.11 金沢 / Kanazawa
しいのき迎賓館

2013.3.11 金沢 / Kanazawa
金沢市役所

2013.3.11 金沢 / Kanazawa
北陸信用金庫

2013.3.11 金沢 / Kanazawa
清水建設

2013.3.11 金沢 / Kanazawa
三谷産業

2013.3.11 金沢 / Kanazawa
北国新聞

2013.3.11 金沢 / Kanazawa
中日新聞[5]

2013.3.11 金沢 / Kanazawa
石川県立図書館

2013.3.11 金沢 / Kanazawa
金沢中警察署

2013.3.11 金沢 / Kanazawa
北陸電力

2013.3.11 金沢 / Kanazawa
石川県福祉文化会館

2013.3.11 金沢 / Kanazawa
金沢エクセルホテル東急

2013.3.11 金沢 / Kanazawa
金沢市文化ホール

2013.3.11 金沢 / Kanazawa
石川郷友会館

2013.3.11 金沢 / Kanazawa
北陸私鉄バス労働会館

2013.3.11 金沢 / Kanazawa
浅野神社

自転車でふらっと出かけ、旗が見えたところで写真を撮った。
結果的には、ほとんどが表通りで、旗もよく目に付く場所に掲げられているものばかり。どちらかというと、そこそこ大きな組織の建物に掲げられているものであった。

市内の一部を回っただけだが、半旗を掲げているところ、喪章をつけているところ、通常と変わらないところがあった。
公共施設では、すべて半旗となっていた[6]が、それ以外では、旗の掲げ方に違いが見られた。

北国新聞は、当日の朝刊の社説で、

”東日本大震災2年”
顔を上げて再び自分の足で歩き出せるまで、笑顔が戻る日まで、被災者に寄り添う覚悟を持ちたい。

2013年3月11日付 北国新聞 朝刊 2面 社説

と書いていたが、その北国新聞が通常と変わらない掲げ方だったのは、どのあたりに”寄り添う覚悟”があるのか、多少の疑問を感じている。

とは言え、半旗を掲げているからといって、その組織の全員がその気持ちを持っているとは限らないし、通常と変わらない掲げ方でも、強い思いを抱いているのかもしれないので、あまり深くは考えず、「こうであった」ということを伝えるに留める。

撮影データ

Nikon F100, Ai Nikkor 35mm F2S, Kodak ProFoto XL 100(PROFOTO XL 100)

Nikon F100, Ai Micro Nikkor 55mm F2.8 + Ai TC-14AS, Kodak ProFoto XL 100(PROFOTO XL 100)

更新情報

2013/3/20
写真を1枚追加(浅野神社)
2016/3/20
引用部分、HTMLのciteタグの表記を変更。

脚注

  1. 日によって、金沢城公園だったり、浅野川だったり、石川県庁からの眺めだったりする。 []
  2. 撮影位置は、テレビの映像とは異なる。テレビの映像は、道を挟んだビルの上から、固定カメラで撮影しているのだと思う。 []
  3. 大和アトリオは、確実に”そういう意”を込めているが、テレビ局が、そこまで考えてこの場所を選択したのかは不明。 []
  4. タクシーなんかに「がんばろう東北」というステッカーが貼ってあったりするのも、「あなた達のことを、気にしていますよ。見ていますよ。」という意思を伝えるための、ちょっとした装置だ。ステッカーが風雨に晒されてボロボロになっていたりすると、逆効果なのかもしれないが… 以前は「こんなステッカーなんか作っとらんと、10円でも他のこと(募金など)に金使えよ。」と思っていたが、考えを改めた。 []
  5. 北国新聞との比較のために旗を探したが、見つけられなかった。 []
  6. 2013年3月11日付の北国新聞夕刊に、武蔵ヶ辻交番における喪章をつけた旗の写真と共に、「県内でも各所で弔旗」というタイトルで記事が掲載されている。 []

著者

西尾 健(にしお たけし)
石川県金沢市在住の素人フォトグラファー。
ダメ人間で写真が好き。フィルムの魅力に引き込まれ、フィルムで撮り続ける日々。
このWebサイトでは、主に自分用のメモと記録を、写真と文を交えて記事にしています。

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