公益社団法人 日本眼鏡技術者協会への、パソコン作業用メガネに関する質問と回答について、全文をそのまま掲載します。
なお、回答はメールに添付されたWordの文書ファイル(doc)で提供されましたが、Webで公開するにあたり、テキストをそのままコピーし、段落ごとに改行を入れています。
質問
送信日: 2012/07/09
問い合わせフォームに入力した本文
パソコン作業用メガネに関する質問です。
昨今、「パソコン作業による目の疲れを低減させる」というレンズのメガネ(以下、パソコン用メガネと呼称します)の宣伝をよく見かけるようになって来ました。
例:
http://www.zoff.co.jp/sp/zoffpc/
http://www.jins-jp.com/jins-pc/いずれの商品も、紫外線から青色域の波長の光線をカット(低減)することにより、目の疲れを低減させるようです。(ちらつきを抑えるなどの効果もあるようですが、大きく宣伝しているのは青色光、ブルーライトのカット。)
レンズの性能については、透過率イメージ図などから、紫外線から青色域の光線をカットしているのだと思っています。(もし、正しくカットしていなのであれば、公正取引法違反になってしまうでしょうから、ウソは書かないでしょう。)
私が気になっているのは、
「パソコン作業で受ける紫外線から青色域の光線の量は、実はけっこう少なく、パソコン用メガネを使っても目の疲れに関して大差はないのではないか」
ということです。パソコンのモニタから出ている紫外線から青色域の光線の量は、窓から差し込む太陽の光や蛍光灯と比べた場合、どれくらいなのでしょうか?
太陽光などはまぶしいほどの明るさですが、パソコンのモニタはまぶしいというほどではなく、太陽光の方が影響がありそうに思えます。どのメーカーも、青色光をカットするというレンズの性能ばかりを宣伝しているだけで、パソコン用メガネを使用する前と使用した後の光線量の変化については何もわかりません。
パソコン用メガネの実際の効果について教えてください。
使用する必要があるんでしょうか?なお、この質問と回答について、私個人のWebサイトに掲載(全部、または抜粋)し、情報を共有たいと考えております。
以上、長くなりましたが、よろしくお願い致します。
回答
メール受信日: 2012/07/13
返信メールに添付されていた、Wordの文書ファイル”西尾様質問の答え2012.7.doc”
西尾さんのご質問について
公益社団法人日本眼鏡技術者協会教育部長 木方 伸一郎
2012年7月12日西尾さんのパソコン作業用メガネに関する質問に関して、私の理解している範囲でお答えさせていただきます。
最近のパソコンのモニター画面などの光源が青色域が他の色域と比べ多く発せられていることは発表された分光透過率曲線などでみれば事実だと思われます。
パソコンのモニター画面から発せられる紫外線から青色域の光線の量は、データは把握していませんが、日常浴びる太陽光から発せられるその量と比べ微量だと考えるのは一般常識だといえます。しかし、目への影響を考える場合、眼の中にどれだけの量が入るかが問題で、近距離で長時間作業をした場合の合算量はどうかといわれると無視できるほどの微量であるとは、必ずしも言い切ることはできないと思われます。ましてやその画面で文字などを見るということは、焦点を中心窩に向けての作業となるわけですから、影響がないと断定することは、それほど容易ではないと思われます。ましてや疲れなどの量ではかることが難しいものとの因果関係は、肯定するのも、否定するのも難しい問題です。
青色光の人体への影響については、2012年5月に慶応大学の坪田教授が世話人代表となり「ブルーライト研究会」が発足されました。詳しくはそのホームページをご覧になると見られます(ブルーライト研究会で検索すればでてきます)。
そのホームページにも書いてありますが、ブルーライトの人体への影響は予測の域を超えていません。したがって、パソコン用メガネの実際の効果について明らかな結論を述べることは、現在の段階ではできません。したがって、過大な効果があると断定して販売することは控えるべきであると考えますが、無意味なものであると否定することもできないと考えます。
関連情報
当サイト内記事
外部サイト
更新情報
2012/07/19
- 質問の送信日, 回答の受信日を追加
- 関連情報を追加
2012/08/03
- 冒頭部分の誤記修正
正: パソコン作業用メガネに関する質問と回答について
誤: パソコン作業用メガネに関する問い質問と回答について
2013/3/17
- 引用の表記を修正。