概要
Macのプレビューで黒つぶれが発生する問題がやっと解決に至ったので、その問題点と回避方法をメモする。
「表示がおかしい」とツイートしたのはこの記事執筆の約90日前だが、何かにつけてよく使うプレビューだけに、それよりもかなり前から気になっていた。
写真編集時にLightroomやPhotoshopでは問題なく見えていたシャドー部が、プレビューで見ると真っ黒になってしまったり、ブラウザで見ていた写真をプレビューで開くとやけにコントラストが高く見え、よく見ると暗部が見えないといったことがちょくちょく起きていた。
画像自体のカラープロファイルを確認しても問題はなく、この問題をネットで検索しても大した情報を得られなかった。同じ問題を抱える人は少ないのだろうか?
特に、このプレビューという一般的すぎる名前が曲者で、Macのプレビュー.app以外の検索結果がたくさん紛れ込んでいた。
検索キーワードの選択に苦労しながら英語で検索しまくったところ、ディスプレイ(モニタ)のキャリブレーションに起因する問題であるとの報告をいくつか見つけることができた。
特にうちの場合は、EIZOのキャリブレーションソフトウェアであるColorNavigatorがその原因となっていることがわかり、ようやくの解決となった。
問題点
Macで画像ファイルを閲覧する際、特定の条件でキャリブレーションしたプロファイルをディスプレイに使用すると、閲覧に使用するソフトウェアによってはシャドー部が黒くつぶれて表示される。
画像自体に指定されるカラープロファイル(sRGBやAdobe RGBなど)について述べているのではなく、ディスプレイをセンサーを使ってキャリブレーションした結果のプロファイルを、表示装置(=ディスプレイ)のプロファイルとして使用する場合について述べている。
問題の具体例
- 写真をプレビューで開き、ディスプレイのプロファイルを変えて表示させた場合
正常なものと比較すると、シャドー部が黒くつぶれて、暗い部分の葉が見えなくなっている。
明るい部分、紫陽花の花部分の明るさに変化はない。 - グレースケールをプレビューで開き、ディスプレイのプロファイルを変えて表示させた場合
グレースケールの18番より暗い部分がさらに暗くなり、20番より暗い部分の判別ができなくなっている。
17番よりも明るい部分には目立つ変化はない。
ソフトウェアにおける発生状況の違い
閲覧するソフトウェアによって、問題が発生するものとしないものがある。
プレビューとFinderのクイックルックで問題が発生した。
アニメーションGIFにする前の画像は次の2枚。
黒レベルを階調特性に反映した場合の表示(→Flickr)
黒レベルを階調特性に反映ない場合の表示(→Flickr)
問題が発生したソフトウェア
- プレビュー (8.1)
- Finder クイックルック (10.11.2)
問題が発生しなかったソフトウェア
- Photoshop CS5 (12.0.6)
- Lighrtoom (6.1.1)
- 写真 (1.3)
- ColorSync ユーティリティ (4.11.0)
- Safari (9.0.3)
- Firefox (44.0)
- Chrome (48.0.2564.97)
検証環境
Mac本体:Mac mini (Late 2014), OS X El Capitan (10.11.3)
モニタ:EIZO ColorEdge CG241W (HDMI-DVI変換ケーブルにて接続)
キャリブレーションソフトウェア:ColorNavigator 6 (6.4.11.6)
キャリブレーションセンサー:ColorMunki PHOTO
回避方法
ColorNavigatorで調整目標を作成する際、”黒レベルを階調特性に反映する”をチェックしない状態にする。
”プロファイルをカスタマイズする...”を押下して、”プロファイルポリシー”画面を表示。
”黒レベルを階調特性に反映する”をチェックしない状態にする。
関連情報
wrong colors in preview.app (Apple Support Communities)
Preview+El Capitan = color management bug? (Apple Support Communities)
Lightroom 5 ICC profiles clipped shadows under OSX (Adobe Community)