地図を開かなければ辿りつけない / open a map, or couldn't get to there

観光地にて / near the sights
東山, 金沢市, 石川県 / Higashiyama, Kanazawa, Ishikawa, JAPAN

ひがし茶屋街まで、あとちょっと。


観光周遊バスを降りてすぐのこの場所で、ガイドブックや観光案内パンフレットを開いて地図を見ている人が多い。この細い道に入っていくのか、もう少し大通り沿いに進むのか、さてどちらへ行けばよいのか?
答えは、「どちらへ行っても、大して変わらない。[1]」なのだが、この場所で迷うのには、それなりの理由がある。

ガイドブックに載っているひがし茶屋街は、こんな感じの、道の両側に整然と茶屋[2]が建ち並ぶイメージだったり、
ひがし茶屋街 / Higashi Chaya-gai
こういう、風情を感じるような細い路地のイメージだったりする。
ひがし茶屋街 / Higashi Chaya-gai

しかし、最寄りのバス停、”橋場町(交番前)”でバスを降りてすぐのこの場所は、ひがし茶屋街と呼ばれる地区から100mほど外れた、地元の人々の生活圏である。冒頭の写真では、人物の後ろのすだれのかかった建物は普通の民家であり、シャッターの閉まっている建物は鮮魚屋[3]である。そのため、この場所にはガイドブックで見たようなイメージは存在せず[4]、どちらへ行けよいかを判断する材料が無いというのが、この場所で迷う理由である。

バス停のすぐ前には交番があるので、道を尋ねるには苦労しないし、簡単な地図も掲示されているので迷うことなど無いはずなのだが、そこに交番があること自体に気付かずに歩き始めてしまう人が多い[5]
また、交番のすぐ隣には、観光の見どころを紹介する大きな地図が設置されており、それを見れば進む方向は一目瞭然[6]なのだが、交番の立派な建物の影であまり目立たないせいか、これを見逃す人も少なくない。
それで、なんとなく歩き始めたこの場所で、どちらへ行くか迷ってしまうのである。

この場所に、ひと目見るだけで進む方向がわかる案内板、例えば、

”ひがし茶屋街 100m →”

のように、矢印で方向が示されたものが設置されていれば、ここで立ち止まって地図を広げることもないだろう。

ここからは勝手に妄想
しかし、その案内板は設置されることはないのだ。

この場所から、少し細い道に入ったところにも、もう少し大通り沿いに進んだところにも、どちらにも観光客を相手にしている店がある。そのため、観光客の歩行経路を固定するような案内板が設置されると、片方は来客数が増えて増収増益に歓喜するが、もう片方は閑古鳥が鳴き、そして店主も泣くことになってしまう。
そのため、ひがし茶屋街を訪れる人々にとって便利になると思われる案内板は、その人々を迎える者の意思により設置されることはないのだ。

ひがし茶屋街へは、地図を開かなければ辿りつけないのである。
勝手な妄想はここまで

補足 その1

「どちらへ行っても、大して変わらない。」
という場所に、案内板を設置するのが難しいというだけなのかもしれないな。

例えば、

”ひがし茶屋街 100m ↑”
”ひがし茶屋街 100m →”
のように、行先と距離は同じだが方向が異なる2枚の案内板が設置されていても、何か変な感じだし。

補足 その2

2つの歩行経路は次の通り。


大きな地図で見る


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更新情報

2014.4.14
HTMLタグの記述間違いを修正。

脚注

  1. 「右へ行ってから左に行くか、左へ行ってから右に行くか」というだけの違い。 []
  2. 現在においては、中は土産物店や喫茶店となっている。 []
  3. この日は店舗が休みのためシャッターが閉まっていた。普段は冷蔵ケースに魚が並び、焼き魚などの惣菜も置かれている。 []
  4. もう少し細い道を進めば、土産物店などが見えてくるのだが… []
  5. その証拠に、交番前の横断歩道を、信号が赤でも平気でわたっていく人が大勢いる。(まさか、わかっていて、それでも平気でわたっているということでもあるまいし…) []
  6. 「どちらへ行っても、大して変わらない。」 []

著者

西尾 健(にしお たけし)
石川県金沢市在住の素人フォトグラファー。
ダメ人間で写真が好き。フィルムの魅力に引き込まれ、フィルムで撮り続ける日々。
このWebサイトでは、主に自分用のメモと記録を、写真と文を交えて記事にしています。

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