祈り

神社に祈る
神社に祈る, 宇多須神社, 東山, 金沢市
Mamiya 7II, N80mm F4L, Fuji ASTIA 100F(RAP F)

手押し車に座って祈るお婆さん。
自分ではなく、誰かのために祈っているように見えました。


写真展タイトル

先日、”第44回 兼六カメラクラブ写真展 ”を観に行ってきました[1]
見たこと、聞いたこと、感じたことなどをメモしておきます。

# 途中、「これってどうなの?」「疑問に思う」「意図がわからない」といったことを書いていますが、僕が理解できないために共感できないだけですので、何かを否定するものではありません :-)
# えらく長くなってしまったので、続きは読みたい人だけぞうぞ。

写真展の内容

出展者は約20名でそれぞれ数点の出展です。
展示内容はスナップショットあり、風景あり、モノクロあり、カラーありと様々で、パッと見たところ、ほとんどがデジタルカメラによる撮影→インクジェットプリントで、フィルムは数点のみだと思います[2]

心を惹かれた作品

一通り見て、二つの作品に心を惹かれました。

  • 砺波の散村を横に長いパノラマの作品としたもの

    柔らかなピンクを帯びた陽に照らされた色の良さと、縦40cmくらいで横1mくらいの普段見ないパノラマ形式に惹かれました。[3]

    富士のTX-1などの35mmフルパノラマ、もしくは中判以上のパノラマカメラで撮影されたもかとも思いましたが、今ひとつ細部がはっきりしないので不思議に思っていたところ、クラブ員の方に「デジタルカメラで撮影しPhotoshopで数枚を合成した作品」ということを教えていただき、「ああそうか、なるほどね。」と思ったのでした。

  • 工作機械をスロー気味のシャッターで撮りモノクロの作品としたもの

    オイルにまみれた機械のディテールを感じられるモノクロの質感に惹かれました。

    ちょうど会場にいたクラブ員の方の作品で、Panasonicの”ナントカ5”というコンパクトデジタルカメラ[4] で撮影したそうです。
    「レンズもライカのがついとるし、解像度も足りててこんだけ[5]引き伸ばしてもいけるんやけど、シャッタータイムラグが長すぎるのがなぁ… この写真もここ(スパナとナットを指さしながら)に合わさっとったときにシャッターを切ったんやけど、それでもこんだけずれとるから。」と、カメラについて語っておられました。

    昔は暗室に籠ってのプリントもしていたそうで、「その時の経験がデジタルになっても生かせる。」とおっしゃっていました。
    僕がこの作品から感じたモノクロの質感の良さは、そういう経験があってこそなのかもしれないなぁと思いました。

気になったこと

全体を通して気になったのは、デジタルカメラ特有の嘘くさい色の作品が数点あったことと、インクジェットプリントの用紙選択に意図が見いだせないものがあったことです。

  • 嘘くさい色の作品
  • デジタルカメラで撮影されたものの中にたまにあるのですが、僕が自分の目で見る世界の色と似ているようでいて「何か違う」と感じる色があります。
    それを”嘘くさい色”と言っているのですが、具体的にどういう色かというと、大西みつぐ氏のデジタルカメラで撮影した作品は”嘘くさい色”をしています。[6]

    「何か違う」と感じてしまうと、その作品に写っているものが偽物に見え、作品への想いがスッと消えていってしまいます[7]

    中途半端なものは写真展に出さないでしょうから、出展者はこの”嘘くさい色”に満足して出展しているということなのでしょう。
    おそらく中高年の方だと思われますが[8]、これまでフィルムでバリバリやってこられた方がこの”嘘くさい色”で満足してしまっていることに疑問を感じました[9]、「今まであなた達が撮ってきたものは何だったんですか?」と[10]

    それとも、僕が”嘘くさい色”と感じている色が今一番ナウい色で、世界はそこへ向かっているのかもしれませんが ;-p

  • インクジェットプリントの用紙
  • モノクロの作品に関して、通常の光沢, 半光沢, マットの紙以外に、アート紙[11]を使った作品が数点ありました。
    何らかの意図があってアート紙を使っているのだと思いますが、その意図がわかりませんでした。

    静物のディテールを見せるような作品でアート紙が使われていると、ディテールを見ようとしてもアート紙のテクスチャが邪魔になり、何を見ているのかわからなくなります。
    被写体のディテールをなぞって見ていたのに、気がついたらテクスチャを追っていたなんてことになると、そこで冷めてしまいます。

    見せたいのか、それとも見せたくないのか、う〜ん…

その他

クラブ員の方と話したことなど。

デジタルカメラ使用率などに関して(Q&A形式に編集)

  • Q:クラブ員のデジタルカメラ使用率は?

    A:
    約9割がデジタルカメラを使っている。(フィルムから移行。フィルムカメラはしっかり家に置いてある。)
    コンパクトデジタルカメラで撮っている人もそこそこいる。

    コメント:
    僕が思っていたよりも、大幅にデジタル化が進んでいました。

  • Q:残り1割の人がフィルムカメラを使っている理由は?

    A:
    フィルムこだわりがあって使い続けている人はほとんどいない。
    パソコンを使えない人[12]がフィルムで撮り続けている。

    コメント:
    えっ!?マジですか?
    これまでずっとフィルムで撮り続けてきた人たちが、今のデジタルカメラで得られるもののクオリティに満足できず、フィルムで撮っているもんだと思っていましたが、単純にデジタルデバイド(=情報格差)がその理由だとは…

  • Q:フィルムと比べて、デジタルカメラの画質はどうですか?

    A:
    物足りない部分はある。
    まだフィルムの画質に追いついていないと感じている。(あと何年かすれば追いついてくるだろうと感じている。)
    それでもデジタルに移行したのは、楽だから。
    現像に出したり、暗室で作業したり、プリント指定を何度もやり直して希望のプリントにしたりとか、そういうのが家で全部できるようになった。

    コメント:
    デジタルカメラの画質に不満はあるが、
    ”デジタルカメラで撮影 → 編集[13] → インクジェットプリント”
    というやり方が、求めるクオリティのプリントを得るための最高の方法だったから乗り換えたということのようです。

    確かに希望のプリントを得るには、これまでのやり方(=お店プリント)ではかなりの手間と時間がかかりますし、本当に希望するプリントを得ようとすると、金銭的にもかなりのものになってしまいます。
    それが比較的安価に自宅でやれるようになるというのは、大きな変化であり、進化であり、プリント派にとっては大革命だったのだと思います。
    それで、フィルム自体が持つクオリティの高さよりも、最終的な出力のクオリティの高さとそのクオリティの得やすさでデジタルな入出力方法が評価され選ばれたのでしょう。

    この観点で考えると、フィルムで撮ってお店プリントというのは、デジタルな入出力方法に勝てない[14]のではないかと思いました[15]

    # プリントにこだわるとは言っても、嘘くさい色の作品が数点あったのはどうしてだろう?

若いフィルム愛好家への期待

  • 若い人がフィルムで撮影していることを嬉しく思う。
  • フィルムで撮影することで、露出の勘所(シビアなコントロール)を学べる。
  • できれば暗室を経験して欲しい。

以上、ちょっとまとまりがつかない感じ…

更新情報

2014.7.19
フジカラー北陸のWebサイトリニューアルに伴うリンク切れを修正。

脚注

  1. その日たまたま開催されていたのがこの写真展で、他に深い意味はなし。場所はフジカラーギャラリーかなざわ(→フジカラーギャラリーかなざわのWebサイト []
  2. 全てを確認したわけではないのですが、見るからにデジタルカメラ特有の嘘くさい色をしていたり、引き伸ばしに伴うジャギーが見えたり、インクジェットの走査ラインが見えるなどがその理由です。
    なお、20年か30年前に撮ったという1点は確実にフィルムでした :-) []
  3. どうやってプリントするのかわかりませんでしたが、A3ノビのロール紙とかが普通に売られているのですね。 []
  4. 機種名を聞いたけど失念。LX5だったような気もする。 []
  5. A3くらいだったかな? []
  6. 手元にあったアサヒカメラ2008年6月号に、”東京 密やかな町/大西みつぐ”から数点が掲載されていますが、どれも”嘘くさい色”であり、僕にはそこに写っているものが偽物に見えるのです。(撮影機材は、ニコン D200, D300, 18〜70mm F3.5~4.5とあります。)
    それに引き換え、FILM&IMAGE VOL.15に掲載されているもの(”Wonderland/大西みつぐ”からと思われる)は、自分の目で見た色と同じだろうと思えます。
    # 少し話は違いますが、”川内倫子調”と呼ばれるようなあの青いものも偽物だと感じています。
    この”嘘くさい色”がデジタルカメラ自体(ホワイトバランスとか)に起因するものなのか、そもそもデジタルカメラの色がフィルムの色をシミュレートしていないのか、どうしてこういう色になってしまうのか知りませんけれども。 []
  7. アート的な何かを狙った作品であればその色がどうであれ別に構いませんが、ドキュメンタリー的な作品や、被写体にストレートに迫る作品だったりするともうダメ。 []
  8. お話ししたクラブ員の方は、中高年のどちらかといえば若い方に入る方でした。その方と話した中で、まだまだ上の方がたくさんいるというニュアンスで話をされていました。 []
  9. 大西みつぐ氏の作品についても、同様に疑問に思っています。 []
  10. こんな色になるフィルムなんかどこにも無いでしょう?
    プロビアもベルビアもエクタクロームもコダクロームも(僕は生でコダクロームを見たことがありませんけれども…
    残念ながら、写真誌や写真集でしか見たことがありません。)、Super Gもヴィーナスもポートラもスーパーゴールドもセンチュリアもサクラカラーもコニカカラーも、こんな色じゃない(なかった)でしょう? []
  11. 表面にキャンバス地や何らかのテクスチャによる陰影や模様があるもの []
  12. 「Photoshop?何それ?」という人もいるそうです。 []
  13. レタッチと呼ぶのか、デジタル暗室(明室)と呼ぶのか、単に現像と呼ぶのかよくわかんない。 []
  14. クオリティの得やすさで勝てない→商業的にも勝てない→衰退 []
  15. フィルムで撮ってお店プリントする方が、全てうまく進んだ場合にプリントの最終的なクオリティは高くなると思っていますが、その境地に到達するのは、ごく一部の写真愛好家やプロに限定されると感じており、相対的にデジタルな入出力の方がいい結果が得られるというのが現状ではないかな、と。 []

著者

西尾 健(にしお たけし)
石川県金沢市在住の素人フォトグラファー。
ダメ人間で写真が好き。フィルムの魅力に引き込まれ、フィルムで撮り続ける日々。
このWebサイトでは、主に自分用のメモと記録を、写真と文を交えて記事にしています。

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