今年、2016年のル・マン24時間レースもまた、劇的なレース結果となった。
23時間55分にわたってレースをリードしたトヨタは、レース終了まであと10分を切ったところで力尽きた。
そのトヨタをずっと追い続けたポルシェは、コントロールライン付近で停車したトヨタを横目に、24時期間走りきって優勝した。
このレースを見て思ったことをメモしておく。
教訓
- 可能性が1%、1mm、1秒でもあるうちはベストを尽くす
ポルシェが勝てたのは、同一周回で2位を走っていたからこそ。 - 最後の最後、ゴールラインを通過するまで、チェッカーフラッグを受けるまで諦めない
終わってみるまで何が起こるかわからない、特に様々な要素が絡む耐久レースではなおさら。 - どんなときにも手を抜かない
後ろを走るポルシェが一瞬でも手を抜いたか?いや、抜いていない。
手を抜かず、ずっとプッシュし続けることで、相手への強烈なプレッシャーとなる。
1991年のル・マン24時間レースで、下位を走行していたマツダがペースアップしてプレッシャーをかけ、トップを走るメルセデスをリタイヤに追い込んで優勝したという話もある。 - 何かあった場合の準備をしておく(想定の範囲を広げる)
耐久レースで起こりうる事態に備え、もしそれが起きたらどうするか準備する。
ルーチンピットストップとしての給油やタイヤ交換、ドライバー交代などは、確実に発生する事象なのでその準備は十分にやっているはずだ。
そこから徐々に発生頻度の低いものへ目を向け、タイヤのパンクやブレーキ交換といった中程度のものから、駆動系や電装系のなどの重大なトラブルに至るまで、もしそれが発生したらどう対処するのかを考えておく。
「この時間に、この場所で問題が発生したら、この対応をする」という準備をしておく。 - 良いものを取り入れる
航空機の運航では、着陸について見てみると、まず着陸に取り掛かる手順があり、その後で着陸できたときの手順と、着陸できなかったときの手順が準備されている。
また着陸できなかったときには、もう一度着陸をやり直すのか他の空港へ着陸するのかを判断する基準があり、それに従って事後の行動が全て決められた手順で行われる。
これらは通常の手順として用意されており、それを手順通りに間違いなく遂行するのがパイロットの役目である。
また、何か異常事態が発生した場合には、あらかじめ用意されたノンノーマルプロシージャと呼ばれる手順を実施し、安全に着陸することを試みる。
安全な運航のために航空業界がおこなっている様々な取り組みから、学べることは多そうである。
関連動画
Porsche at Le Mans 2016. / Porsche
Competed together for 24 hours.
Head to head for 24 hours.
Gained our respect forever.We are proud to win Le Mans for the 18th time and applaud Toyota on an incredible fight.
2016 Le Mans 24 Hours Review / ToyotaMotorsportGmbH
日産好きの雑念
日産好きで、レースで日産を応援する者として、100%素直な気持ちでトヨタを応援してはいなかった。
だいたい60%くらいの気持ちの入れようで、好意をもって応援しているけれど、必死になてハラハラドキドキしながら応援するほどではない程度。
というのも、もし、今回トヨタが優勝してしまうと、日本の自動車メーカーとして取り残されてしまうような気がして、レース序盤から「もしアレだったら、負けても別にいいよ」という少しおかしな気分だった。
それでもレース終盤、トヨタの優勝が目前まで迫ってきていた頃には、純粋に応援するようになっていた。
トヨタが嫌いというわけじゃない。最近、ここ何年かのトヨタ車に惹かれるところは少ないが、初めて買った車はソアラ(GZ20)だし、70とか80のマークIIとかハチロク(≠現行)とかもいいなぁと感じる。
「トヨタが憎い」というような、アンチトヨタな方々とは全く別のところに立っていると思っている。
モータースポーツにおいては、良き対戦相手であり、ライバルであり、勝つべき相手である。
テストの勉強が足りなくて悪い点数しか取れないようなとき、友人も自分と同じくらい悪い点数だったら、自分のダメさ加減が少しましに見えるのに…というような心境。
今回、トヨタが優勝を逃したことで、救われたような気分になっているが、結局、日産の成績は以前から何も変わっていないのだから、ずっと置きっぱなしになっている忘れ物を、さっさとル・マンへ取りに行こう。
更新情報
2016年8月24日
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